日本代表の香川真司が、ピッチに立った。観客は10万9318人。記録的な観衆を集めたその舞台は、W杯でもなければ、チャンピオンズリーグでもない、ただのプレシーズンマッチ。公式戦というよりは、練習試合や親善試合に近い色合いの試合だ。

 

そんな試合に、いくら対戦カードがマンチェスター・ユナイテッドとレアル・マドリードというビッグカードだったとはいえ、約11万人もの観客を集めた国はサッカー王国ブラジルでもなければ香川の所属するサーカーの母国イングランドでもなく、ましてサッカー人気の高い他の欧州の国や中南米の国でもない、サッカー不毛の地と呼ばれたアメリカだった。この集客数は決して偶然ではなく、今サッカー不毛の地アメリカで、サッカー人気が確実に高まりつつある。

 

スター選手が続々移籍するMLS

 

以前からFIFAは何とか世界屈指の市場であるアメリカを開拓しようとしてきた。だがアメリカをW杯の開催地にしても、アメリカ代表が強い女子サッカーの方は人気だが、男子の代表人気は今ひとつのまま。アメリカのプロサッカーリーグMLS(メジャーリーグサッカー)も決して人気があるとは言えない状態だった。

 

それが、近年MLSに移籍する大物選手は引きもきらない。スペイン代表でW杯とユーロの得点王のダビド・ビジャ、元ブラジル代表でバロンドーラーのカカ、元イングランド代表でチェルシーの中心選手だったフランク・ランパード。ブラジルリーグのアトレティコ・ミネイロを退団したロナウジーニョもMLSへの移籍が噂されている。広州恒大は元イタリア代表の中心選手トッティへも触手を伸ばしているとの報道もあったほどだ。

 

環境面や年俸面が充実していなければ、これだけの実績のあるスター選手が移籍してくることはまずなく、MLSがそれだけ魅力的なリーグになっている証拠だ。スター選手が満足できる環境や年俸を用意できるほど、MLSはビジネス面でも着実に成長している。

 

アジアチャンピオンズリーグで猛威をふるう広州恒大

 

2013年、中国のチームとしてはじめて広州恒大がアジアチャンピオンズリーグを制覇した。そして2014年のアジアチャンピオンズリーグでも、広州恒大は快進撃を続けている。

 

その快進撃の秘密は豊富な資金に裏打ちされた豪華な外国人選手やスタッフ達。今年のW杯には出なかったものの、去年のコンフェデレーションズカップにイタリア代表として出場し活躍したディアマンティが中心選手で、監督はW杯を制した経験を持つイタリアの名匠リッピで、その豪華さはアジアチャンピオンズリーグに参加しているチームの中では郡を抜いている。

 

ディアマンティの様に、現在のイタリア代表に選ばれてもなんら遜色のない選手が中国のサッカーリーグに移籍することは珍しかった。だがここ最近ではブラジルW杯の日本戦での強烈な存在感も記憶に新しい、コートジボアール代表のドログバやドログバとともにチェルシーで活躍した元フランス代表のアネルかなど、超大物が在籍していた。広州恒大は元イタリア代表の中心選手であるトッティにも触手を伸ばしていると報道された。

 

 新たな勢力、インド・スーパーリーグ

前述のMLSほどではないが、スター選手を集めているリーグがある。

 

もっともこちらはMLSに移籍した選手と比べると選手としてのピークはとうにすぎており、いささか意味合いの異なる移籍ではある。ただ顔ぶれは下手をするとMLSや中国より豪華だ。

 

プレミアリーグを無敗で制したアーセナルの中心選手で、元フランス代表のピレスと元スウェーデン代表のユングベリ。さらにW杯優勝メンバーの一人で、優勝の原動力の一人だった元フランス代表のトレゼゲなど。また日本でも人気の高い元イタリア代表のデル・ピエーロへもオファーを出しているチームもある様だ。これらレジェンド級の選手のプレーがインドで見れることになるとは、少し前だと考えもしなかった人も多いのではなかろうか。

 

サッカー界は、進化を止めない

 

アメリカ、中国、インド。世界のサッカー界では完全に傍流とされたいた国が、大きな変化を起こしつつある。中国やインドはもちろん日本と同じアジアの国であり、日本代表やJリーグのあり方へも大きく影響を与える可能性もある(現にJリーグ勢は最近のアジアチャンピオンズリーグで、広州恒大に苦渋をなめさせられ続けている)。

 

MLSの成功はJリーグも見習うべき部分が沢山あるし、1サッカーファン、JリーグファンとしてもMLSの様に大物選手が移籍してくる様なリーグに成長して欲しいと思う。そしてその事が、着実に日本代表へポジティブなフィードバックをもたらしてくれるはず。

 

世界のサッカーシーンは、進化と変化を続けている。日本も進化を繰り返し、大きな変化を世界のサッカーシーンにもたらす存在になることを、願ってやまない。