米Google社がEU裁判所の決定に基づき、インターネット上での「忘れられる権利」を認め、時間がたった記事を検索結果から除外する方針を定めたことは大きなニュースとなりました。
一方本日、Googleの競合で検索エンジン「Bing」を運営するMicrosoft社もこの「忘れられる権利」に対応するため、Bingの検索結果への除外申請フォーム運営を開始、EUでは大量の削除申請が寄せられているようです。
この「忘れられる権利」、一概に中傷記事を削除する、というわけではなく時間の経過と内容のレベル(忘れようもないレベルの記事は削除されにくい)で判断されるため、その判断基準がはっきりしない今、いろいろと議論が展開されています。
ただこの内容は判例に基づき「人物」にしか適用されません。
例えば、日本で置き換えて考えてみるとレビューサイトで自分の店がボロクソに評価されても、時間がたったとして「忘れられる権利」は主張できないことになります。
一方で、軽犯罪を犯した過去がニュースになり、一生その記事が付きまとうことは考慮されるという事です。
インターネットの世界では、確かに現実の人間同士のコミュニケーションとは違った記録のされ方や情報の展開が行われます。
従来の人間関係で起こりえなかった記録形式は、人権を侵害しているとも言えそうです。
残念ながら、この決定が展開されているのはEU内だけです。
ただ近い将来、必ず日本でも同様の訴訟が起こると筆者は感じています。
この時に日本の司法がいったいどのような判断を下すのか。
検索エンジンだけに限らず、インターネットというフィールド内を一般社会と照らし合わせ、どんな人権の在り方を問うのか。
大きな情報変革が近づいているのを感じます。
Written by 中島