こんにちは。Cocoaウェブディレクターの中島です。
さて、2017年3月6日、インターネットの世界で仕事をする我々にとっても衝撃的なニュースが飛び込んできました。
企業向け損害保険を取り扱う損害保険ジャパン日本興亜がSNSでネット炎上してしまった場合のリカバリー費用を補償する「ネット炎上対応費用保険」を企業向けに販売開始したのです。
例えば、マルカ食品のペヤングやマクドナルドのチキンナゲットなどSNSで拡散されたことで昔ならあまり大騒ぎにならなかった企業の不祥事が一瞬で拡散し、広がる時代となりました。
この言葉を使うことが適切かはわかりませんが、そういった”風評被害”の鎮火に伴う費用に対し保険をかけませんか?という事のようです。
確かに、SNSでの情報拡散能力は馬鹿にならない時代となりました。上に挙げた食品被害だけでなく社員による機密情報持ち出しなどの情報漏洩やSNS企業アカウントの「中の人」の不用意な一言による大炎上など、経営者にとっても予測できない”炎上”リスクが生まれています。
かといって、インターネット上での企業活動にいちいち上長や総務の確認や了承をとっていては、このスピード感を必要とする企業活動に支障が出るのも事実です。そこで、保険で賄おう、というニーズが発生しているのだと思われますね。
損保ジャパン日本興亜のページでは、「補償されるのは、拡散防止費用、コンサルティング費用、原因調査費用、臨時費用、分析費用、メディア対応費用」と掲載されています。
つまり、起こってしまった炎上を「鎮火する」費用と読み取れます。
そもそも炎上を起こすか起こさないかは企業次第、という訳ですね。
また、「炎上」の定義としては「被保険者が行う業務に関し、保険期間中にSNS等でネガティブな情報が拡散し、または拡散するおそれが発生した(ネット炎上した)場合に、被保険者が費用を支出することによって被る損害を補償する。この場合のネット炎上は、被保険者が発見または認識し、同社が指定する基準を満たした第三者機関に通知した結果、緊急通知基準に合致したものを指す。」との事です。
定義は大きく公開されていません。これは損保ジャパン日本興亜さんへ問い合わせる必要がありそうです。
「標準的な契約例は1事故/保険期間中限度額で1,000万円、年間保険料はおよそ50万円~100万円。」だそうです。
これを見る限り、ネット炎上のカバー費用のボリュームゾーンは1,000万円以下、との事なのでしょう。個人的には安すぎる気がしなくはないのですが、影響の大きい企業はもっと大型の保険に加入するのかもしれませんね。
さて、では加入価値があるのか、保険は必要なのか、という事ですが食べログなどの炎上例を見ていると小規模企業はそもそも炎上した時点で会社が継続不可能なレベルまで追い込まれてしまうように感じます。
いくら鎮火しても、その間の事業の継続が難しくなってしまうという事です。
私が思うに、ネット炎上への最大の対策は、「初動」です。
いかに迅速に、的確な謝罪、対応がとれるか、です。
基本的に鎮火対応はそのあとです。
的確な初動が取れた場合のみ、「炎上」を企業評価を上げる「チャンス」へ変化させることが可能です。事実、トラブル時の初動が的確だったおかげで企業評価を上げた例はいくらでもあります。
もちろん、保険加入はリスク回避へとつながることは間違いありませんが、この初動に対する企業としてのルールや、対応シミュレーションを用意、また経営者が迅速な介入を行い、適切な判断を下すことを忘れないようにしてほしいものです。