Appleがヘッドフォンで人気の新興ブランドである”Beats by Dre”を提供するBeats Electronicsを同社としては史上最高額となる32億ドルで買収するとフィナンシャルタイムズ(以下FT)が報じています。早ければ来週にも正式発表される可能性があるとしつつ、完全に合意に至ったわけではないため、交渉決裂の場合もあるとしています。
Beats Electronicsはヒップホップミュージシャンとして著名なスターであるDr.Dreと、有名音楽プロデューサーのJimmy Iovineによって2008年に創立されたまだまだ若い企業です。
”Beats by Dre”はDr.Dreがプロデュースした高品質なサウンドと、ストリートで映える高いデザイン性が特徴で、若年層を中心に急激に人気を伸ばしています。AppleStoreでも販売されており、同じく高いデザイン性が売りのAppleとは共通点があるブランドといえるかもしれません。レディーガガや女優のクロエ・モレッツなどのセレブリティーや有名サッカー選手などにも愛好者が多く、レアル・マドリードの選手や、マンチェスター・ユナイテッド所属のウェイン・ルーニー、日本代表選手である香川真司も愛好しており、若年層に人気があります。そういった点から、”Beats by Dre”のブランドイメージは非常に高く、そういった点もAppleが買収に踏み切った理由の一つかもしれないとの事。
またAppleは世界最大の音楽ダウンロードサービスであるiTunes Storeを保持していますが、音楽ダウンロードサービス自体の売り上げは昨対2%ダウンと微減しています。反面SpotifyやPandoraなど、1曲1曲購入してダウンロードする形式ではなく固定額制で聞き放題のストリーミング形式サービスが昨対50%も売り上げを伸ばしており、業界の流れは完全にストリーミング形式サービスが主流となる兆候が出ています。Beats ElectronicsはSpotifyやPandoraと同形式のストリーミング形式のサービス”Beats Music”を運営しており、まだSpotifyやPandoraほどの規模ではないものの、”Beats Music”も買収理由ではないかとFTは予想しています。
【今後の個人的な予想・願望】
個人的な話をすると僕も”Beats by Dre”ブランドのヘッドフォンを一つ所有していまして、”Beats by Dre”は好きなブランドであり更にAppleファンでiPhoneユーザーでもあるので、買収が実現してくれると嬉しいですね。僕が持っているのは低音が強くて高音がシャリシャリのいわゆる”ドンシャリ”(高音と低音が強いサウンド)のヘッドフォンで、その他の商品も低音に特徴があるものが多く、”Beats by Dre”のヘッドフォンやイヤフォンはヒップホップなどが好き方には良いと思うのですが、幅広い層が対象のiPhoneとは相いれない特徴だと思うので、果たして買収が実現した場合、どう相乗効果を生んでくれるのかが、非常に興味深いです。
”Beats by Dre”は急激に人気を伸ばしているブランドなので、Appleとのどの程度の距離感で運営されるかはまだわかりませんが、ブランドが消滅することはないと思います。何らかの形でiPhoneやiPodなど既存のApple製品とのコラボレーション製品が出る可能性はあるのではないでしょうか。本当に個人的な願望ですが、高音質イヤフォンとセットの新型iPhoneや、音楽再生機能が大幅にアップした新型iPhoneの発売を期待したいですね~!
逆に”Beats Music”は先行している競合サービスであるSpotifyやPandoraが日本でサービスを開始していない点から見ても、日本での実現は難しそうなので、日本のユーザーとしてはほぼ関係ない状況が続くのではないかと思います…。さびしい話ですが。
FTによれば最速で来週にも合意するらしいので、続報を楽しみに待ちたいと思います。
ソース:Financial Times