プライバシーと表現の自由は、よく議論される問題ですが、GoogleのWeb検索に関しての最高裁の判決が出るのは今回の判決が初めてです。
6年前に児童買春の罪で罰金50万円の有罪が確定した男性が、その後3年余りの年月がたっても、Googleで自分の名前を検索すると逮捕歴が記された検索結果が表示されるため、その削除を求める申し立てを行い、今回の裁判は始まりました。
もし削除が認められれば、すでにEU圏では確立している検索結果の削除をことができる権利”忘れられる権利”が認めれることになり、またGoogleの検索結果に関する初めての最高裁の判決が出るということも合わせて、非常に重要な裁判として注目されました。
注目の最高裁の判決は、
「表現の自由よりプライバシーが勝る場合は削除を可能とする」(最高裁)
というものでした。
では、どういう基準で表現の自由がプライバシーに勝っていると判断するのでしょうか。最高裁は、その要素として全部で6つの項目をしましました。
以上の6つです。
その上で、この男性については、「児童買春の犯罪は公共の利害に関する事項」であり、「名前に加えて住んでいる県も入力しなければ検索結果が表示されず、逮捕の事実が伝達される範囲は限られる」と判断し、「検索結果の削除を認めない」という決定をしました。
この判決に関しては賛否両論あり、基準となる項目が示されたことを評価する声もあれば、”基準をどの程度満たすと判決に影響するのかが不透明だ”という非難の声もあり、まだまだ議論の余地がある状態と言えます。
自分に不利な検索結果が出てしまう時、その削除を求めても、削除してももらえない…個人法人を問わずそれは恐ろしい状態である気もします。一方で、身近にいる知人や仕事仲間が、もしかしたら過去に重大な犯罪を犯した人間であるかもしれないことを、検索できたほうが良いのか、否か。今回最高裁はプライバシーより表現の自由、ひいては知る権利を優先した結果となりましたが、本当にそれが今後の社会にとって良いことなのか。私たちも真剣に考えたほうが良いのかもしれません。
source:日経新聞、IT Pro、BuzzFeed、TBS News i