DeNAの運営する医療に関するキュレーションメディア”WELQ”が全ての記事を非公開にしたことから端を発したキュレーションメディアの著作権侵害問題。
DeNAだけでなく、リクルートやサイバーエージェントといった大手IT企業も次々と記事を非公開にするなど、DeNAだけでなく業界全体が問題を抱えていることが徐々に明らかになっています。
こういったキュレーションメディアは、短期間に大量のコンテンツを掲載し、検索エンジンからのアクセスを増やすことでユーザーやPVを増やし、広告収入を得るビジネスモデルでした。
このモデル自体に違法性はありません。
問題は、短期間に大量のコンテンツを作成するために、他サイトのコンテンツを”、引用”ではなく”盗用”とも言えるような形で使用してしまったことです。
要は、他サイトの文章をコピペして、ほんの一部を書き換えて掲載したキュレーションメディアが多く存在したのです。
後述しますが、このように他サイトのコンテンツを”ほぼそのまま”使用することは著作権の侵害にあたる可能性が高く、法律違反の可能性大です。
これらのキュレーションメディアは、その点のチェックが非常に甘く、日常的に著作権を侵害していると指摘されています。
WELQが記事を非公開にするきっかけは記事の信憑性に関して東京都から指摘を受けたことですが、この件をきっかけにWELQ自体が注目を集めてしまい、隠れたいた著作権侵害問題が浮上したのです。
大手企業の運営するキュレーションメディアが、なぜ著作権侵害という法律違反を侵してしまったのか。
それは、近年のGoogleの検索エンジンに対するSEO対策の一貫であったことは間違いありません。
Googleのアップデートにより、外部サイトからリンクを大量に貼り付ける従来のSEO対策がほぼ効果を無くし、サイトを検索エンジン上で上位に表示させるためには、サイトに大量のコンテンツを追加する必要が出てきました。
そのため、大手企業は多額の予算をかけ、少しでも安い金額でコンテンツを作成するために、前述の”他サイトのコンテンツをコピペして、ちょっと改変して自サイトのコンテンツにする”という手法に走ります。
実際DeNAやその他企業のキュレーションメディアは短期間で数百万人以上のユーザーを集めたとのことで、効果はあったのでしょう。
この方法がキュレーションメディアを運営する際の常套手段となります。
この手法ですが、どこから違法になるのか、すぐわかった方は多くないと思います。
まず、著作権上認められている”引用”との違いが明確でないからです。
webサイトだけでなく、本などの著作物ではよく見ると思うのですが、他者の文章を”引用”して、自らの文章の根拠するといったことは、違法ではなく通常に行われていることです。
ですので他サイトのコンテンツを”ほぼ”流用していることはモラル的には完全にアウトですが、著作権法上は違反か否か、個人的には判断がつきませんでした。
これに関して、”Web担当者Forum”に良い記事がありました。曰く、
法律的に正しい”引用”とは、裁判例が示す引用の要件(1、2、3)や、その他の注意事項(4、5)をまとめると、
1.公表された著作物であること
2.引用する側の著作物と、引用される側の著作物とが明確に区別されて認識できること
3.前者が主、後者が従の関係があること
4.出所の明示をすること
5.著作者の意思に反する改変をしないこと
この5つを全て満たす必要がある
とのことです。
これを理解した上で考えると、”他サイトのコンテンツをコピペして、一部を書き換えて自サイトのコンテンツとして使用する”といったことは”引用”の範囲から外れ、法律違反であることは明白なように思えます。
知らぬうちに法律違反をしていることはままあるかもしれませんが、知りませんですまないのが法律の世界。
今後DeNAをはじめとしたキュレーションメディアにどのような対処がなされるかはわかりませんが、いくらSEO的に有利だからと言って、他サイトのコンテンツを流用しすぎることは避けましょう。