こんにちは。Cocoaのウェブディレクターの中島です。
さて、私なんですが好きな食べ物は何ですか?と聞かれたときにすぐピザが出てくるほどのピザ好きです。
イタリアンが好き、という訳ではなくピザが好きなんです。
薄めのクリスピー生地に、たくさんのトッピング。オリーブオイルにたくさんのとろけるチーズ。
家から出るのがめんどくさい時に、頼んでから40分くらいで家に届く便利さ。常に何らかのクーポンを使ってお得感が味わえるのも私のような堕落人間にとっては素晴らしい限りです。
メニューも迷うほど多く、決めきれない気持ちをあざ笑うかのようなクオーターピザやハーフ&ハーフ。まるでこちらの迷う気持ちを読まれているかのようです。
ピザを食べながら、スポーツ中継を見たり、インターネット動画を見たりするのもいいですね。
普通のご飯を食べながら何かをするのはマナー的に良くない感じもしますが、なぜかピザだと悪い感じがしません。
まぁそんなこんなで前置きが長くなりましたが、筆者はピザが大好きなので結構宅配ピザを頼む、という事です。
ピザについて語る前に、日本におけるデリバリーの歴史を振り返ってみましょう。
実は日本のピザデリバリーの文化は非常に浅いんです。
今より約30年前、1985年に東京の恵比寿にドミノ・ピザがオープンしたのが始まりです。
そもそもデリバリーピザはアメリカで生まれました。アメリカのように国土が広いと、ちょっとレストランに行くのも大変です。雨や雪のような悪天候下ならなおさらです。
日本のように国土が狭いと、わざわざレストランに行く抵抗感は薄いと考えられていたのですが、テレビの普及やスポーツ中継などの増加によって、わざわざ外出する必要がなくピザが食べられるのは大きな利点となっていきました。
人々のライフスタイルの変化に伴い「外出するのが嫌だ」という状況が増えてきたとも言えます。
また、日本にはもともと「出前」という文化が江戸時代より定着していたのもあります。
日本でいえば、そばやうどん、中華料理に寿司、どんぶりものなど注文をもらってからすぐ作り、出来立てを届けることが出来る、という意味ではピザはデリバリーとの適合性も高かったと考えられます。
また従来の出前と違い、洗った容器を玄関先に置いておいて、再回収してもらうお互いの手間がないのもピザデリバリーの良いところですね。
私が子供のころから宅配ピザはすでに文化として日本に定着していました。
今も大きくは変わっていませんが、「ピザーラ」「ドミノピザ」「ピザハット」の三大巨頭に加えて、地方に根付いた中堅ピザチェーン店があり、通常のイタリアンレストランが宅配も承っている、という構図です。
郵便受けをひらくと宅配ピザのチラシが入っていて、その中からクーポンを見て電話で注文する、電話口で電話番号を言うと、すでに頼んだことのある店では住所情報などが登録されていて少し待つと家まで届けてくれる。といった感じでしたね。今でもほとんど変わっていませんが。
20年前当時と今で大きく変わった点でいうと、
・インターネット注文ができるようになった
・チラシの投函数が昔よりは減った
・現金以外の決済方法が選べるようになった
(クレジットカード、TポイントやYahoo!ウォレットなどの電子決済サービスなど)
といったところでしょうか。
ピザデリバリー各社がインターネット注文を導入し始めたのは、2000年ごろです。
もちろん、当時は現在とは違いパソコンでメニュー表を見ることができ、ショッピングカート形式でピザをカートに入れて注文。電子決済もできませんでした。(配達員に現金を直接支払う)
どちらかといえば、わざわざ住所などを伝える手間が省ける、インターネット注文だと少しだけ安くなる、といったメリットしかなかったように思います。
しかし時代は進み、2012年ごろにはスマートフォン用に最適化されたウェブサイトの登場、スマートフォン用のアプリ、インターネット注文専用のアプリの登場、楽天デリバリーや出前館などのデリバリー提携総合サイトの登場などによりインターネット注文の世界も大きく変わってきました。
特に、楽天デリバリーや出前館などでは提携サイトのポイントもたまるし、ピザデリバリー会社のクーポンも使えユーザーにとっては2度おいしい、という状況です。
これにより単純なチラシを見ての電話注文より、インターネット注文のほうが得だ!という状況が生まれました。スマホの爆発的普及の後押しもあってユーザーが徐々にインターネット注文のほうへ移行していっているのもうなずけます。
このインターネット注文の世界。常に時代をリードしているのはドミノ・ピザでしょう。
私たちインターネット業界に長くいる人間なら知っている方も多いかもしれませんが、新しいことにチャレンジしたり、なかなか競合他社がやらないことを最初にやるのはドミノ・ピザです。
もちろん、ドミノ・ピザの場合、インターネット注文に限らず、うまくクーポンを使い、効率の良い値下げサービスを受けると受けないのでは値段が大きく変わってきます。
値段が変わりすぎてしまうせいで、情報弱者は高い値段を払いすぎることになってしまうという批判も見受けられます。
その代わりといっては何ですが、数々のユーザーを楽しませる魅力的なクーポン戦略や、プロモーションごとのネーミングセンスが秀逸です。
いかに少し例を示します。
「BOGOする?」
BOGOとは”Buy One Get One”の略で、店舗へ来店しピザを買うと、もう1枚無料でついてくるサービスの事です。来店割引自体はほかのチェーン店もやっているのですが、BOGOというネーミングをつけて浸透しやすくしているあたりがドミノ・ピザらしいところです。
ピザチェーンでは、デリバリーの人件費が原価を大きく押し上げているため、来店で購入してくれるお客さんにはもう1枚プレゼントしても痛くもかゆくもないという事ですね。でもお得に感じてしまう・・・
なお、インターネットで事前注文しておくと待たずに受け取れます。家の近くにドミノがある場合は要チェック。
「BIG WEDNESDAY」
毎週水曜日限定で、かなりお得(半額近くなる)クーポンがメールマガジンで送られてくるシステムです。
水曜日はピザかな?という認識付けに大きく影響していると思います。
また、従来であればかなり効果の落ちてきているメールマガジンという広告システムですが、ドミノ・ピザは今でも大きく機能していると言われています。
これは、当日限定の格安クーポンが配信されてくるため、ユーザーにとってもお得、という認識が強いためでしょう。本当はクーポンを使わないと割高なだけなのに・・・悔しい。
「雨の日割」
これも雨の日に送られてくる1日限定のクーポンです。割引率は高くありません。
しかし、ドミノ・ピザは配達が遅れた場合、ほかのクーポンと併用可能な500円割引券をくれます。雨の日は注文が殺到します。つまり・・・?
割引クーポンがGETできる確率が高いのです。また、雨が降っていない地域にもメールが届くことが結構あり、そのあたりは雑です。
しかし、「雨の日はピザがちょっと安い」という認識を獲得するのに非常に有効と言えるでしょう。
「感謝祭」
ネーミングはそれぞれですが、常に何かしらのキャンペーンをやっています。いつも誰かに感謝しています。
このキャンペーンは比較的Lサイズピザに適応されることが多く、1人オーダーには向いていません。大人数でパーティーをやるときなどに便利です。大サイズピザを頼むならドミノ・ピザという印象になりやすそうです。
「Pizza Tracker」
ピザをネット注文すると、決済が終わった後に画面が切り替わり現在どのような進捗状況化を時計のような画面で教えてくれます。
「注文」→「トッピング」→「焼き中」→「焼き上がり」→「配達中」などのようにステータスがどんどん進んでいきます。
また、「焼き上がり」時点でクーポンが配布されるため、宅配時間の目安や状況がわかり非常に楽しいです。
配達時の不在や、ユーザーの苛立ちを防ぐのに大きく機能していると思います。
只のクーポン配布というよりも、根底にドミノ・ピザを浸透させるような内容のクーポンが多く存在します。
ほとんどのこういったキャンペーンを競合他社に先駆けてスタートしており、非常にPR戦略にたけた宅配ピザチェーン店という印象があります。
いよいよ先日、上記でも書いた「Pizza Tracker」に付随した驚愕の新サービスをスタートしました。
その名も、「GPS DRIVER TRACKER」です。まぁ、ネーミングでなんとなくわかりそうなものですが、注文が終わった後、「Pizza Tracker」が配達中のステータスへ変わると、配達員の居場所がリアルタイムで表示されるというサービスです。
このサービス、いつも楽しみに使ってみるのですが、ほぼリアルタイムに居場所がヌルヌル動きます。
「今信号で止まってるな」とか「家の近くで少し迷ってるな」とかも正確にわかるレベルです。
また、ユーザーは普段わかりませんが、意外と配達員は同時に数件の配達を行っており、効率よくルートを計算して回っているのもよくわかります。
自分が最後の配達番になっていると若干イライラします(笑)
以下は私の想像になりますが、新しくこのシステムを開発し、各バイクに導入したというよりはおそらくもともと従業員管理用に導入されていたGPSシステムを流用したのでしょう。
ではこのシステムがどういいのか?
という事ですが、「届くタイミングが正確にわかる」、「ピザ配達員に扮した悪いやつを排除出来て女性一人暮らしでも安心」というのもありますが、どちらかといえば「ワクワクする」といった内容だと思います。
ドミノ・ピザの展開するサービスは、「お得」だけでなく「ちょっとワクワクする」ものも多く展開されています。
決して効率やコストパフォーマンスだけを追求したサービスではなく、ピザを注文することをちょっとしたエンターテイメントとしてとらえているようなところがあります。
確かに、ピザはパーティーや宴会で注文することも多い食べ物です。みんなでわいわい楽しめるようなコンテンツと連動されていると華やかになりますね。素晴らしい取り組みだと思います。
このような手法はドミノ・ピザに限ったことではなく、今後は色々なサービスにおいて必要になってきていると思います。
BtoC取引’(企業対個人、個人向けサービス)の場合、従来は安全性や信頼、そし利便性や使いやすさが重要視されてきました。少しでも煩雑さをなくし、簡単に、そして安全に。
各企業が努力を続けた結果、多くのサービスが高い信頼性を担保しました。そしてインターネット通販やEコマースは大きな発展を遂げました。
私たちウェブサービス、ウェブ制作の観点からいっても、ユーザーインターフェースの向上や、離脱をどのように防ぐか、といったノウハウが大きくたまりましたし、使いやすく効果の高いウェブサイトが増えました。
しかし、時代の経過により業界が飽和し、そういった内容でウェブサービスの差別化が図れないようになってきました。
先述のデリバリーピザ業界では、ピザメニューのユーザーインターフェース(コンテンツの使いやすさ・配置)はどこもほとんど一緒。クーポンシステムや電子決済のシステムもほぼ横並びです。
そんな中、ちょっとした違いを見せつけているのがドミノ・ピザだと思うのです。
使いやすい、安くなる、安全、ではなく、「楽しさで人を引き付ける」という要素に対して真面目に取り組んでいます。
他社との差別化に悩んでいるBtoCサービスの場合は、コンテンツ内容を検討し、”FUN”の要素でユーザーを離脱させないようにしていくのも一手かもしれません。
ここからは完全に私の主観に基づいた意見です。予めご承知ください。
利便性やユーザーインターフェースを超えて、楽しい要素を加えることでさらに良くなりそうなサービスを考えました。
新幹線の席予約
私は新幹線の席を予約するウェブサービスをよく利用するのですが、飛行機と競合している場合、値段や空いている席を見て検討します。
例えば、そういった際に窓から見える景色の動画や、社内販売(限定)の写真などがくっついていると「新幹線にしたいな」という気持ちがアップしそうに感じます。
食品通販
食品通販のうち、主に野菜や生ものに当たる場合は、商品が到着してからその保存方法や時間別のおすすめ調理法などを教えてくれると非常にワクワクします。
たとえば、賞味期限が10日間の野菜の場合、2日目、4日目、6日目にそれぞれのおすすめ調理法を自動的に提案してくれて、8日目、10日目には冷凍保存方法などを教えてくれると素敵だと思います。
仮に早急に消費を終えていた場合でも、別の調理方法を提案してくれた場合にはまた再注文しよう、といった気になるかもしれません。
また、野菜などに限らず、食品の場合は、QRコードなどをつけておいて、読み込むと生産者の情報(動画やコメントなど)が出てくるといいなぁと思います。
そこでさらにシェアや再購入ができると他の人にお勧めするときも便利ですよね。
他にもアイデアはいくつかあるのですが、今日はこの辺で。
他業界批判になってもまずいですしね・・・(笑)
私たちも、情報をただお客様に届けるウェブサービスの開発だけでなく、少しでも”FUN”の要素があるコンテンツの開発が重要だと考えているときがあります。
内容に共感出来たり、少し気になった場合にはぜひご相談くださいね。