2、3、5、7、11、13、17、19、23・・・
この法則性の無い奇数の並び。数学者の永遠のロマンのもととなる「素数」です。
今さら必要がありませんが、素数とは、「1とその数でしか割れない数」です。だから1は素数ではありません。
世の中には、この「素数」を数えると冷静さを取り戻して落ち着く人もいるとか、いないとか。
米セントラルミズーリ大は1月21日、素数を研究している同大のカーチス・クーパー教授(計算機科学)が、過去最大となる約2233万桁の素数を発見したと発表しました。
一つ前の素数より約500万桁多い数となっており、その桁数なんと2233万8618桁。気が遠くなるような数字です。
なお、一つ前の素数も2013年に同教授により発見されています。
同教授を含むメンバーの開発した計算プログラムによって、コンピューターがひたすら計算を繰り返し、新しい素数を探していますが、素数がどのように出現するかは現在も解明されておらず次の素数をひたすら計算し続けて探しているそうです。
素数の概念自体ははるか昔から存在するにもかかわらず、いまだその法則性が見つけられていないからこそロマンになる。それが素数です。
なぜこんなに頑張って新しい素数を探しているのか。ただのロマンや暇つぶしと思ったらそんなことはありません。
この「素数」。非常に多く身近に使われています。インターネットを多く使う人などはさらに身近です。
「素因数分解」という言葉はご存知でしょうか。中学校の数学で勉強する内容です。
ある数字を素数の掛け算になるまで分解することで、
例えば、52という数字であれば、
2×2×13
になります。(2と13は素数)
104であれば
2×2×2×13
です。
ここで例題です。
「6557」という数字を素因数分解してみてください。
いかがでしょうか?非常に難しいはずです。
答えは79×83。
素数×素数の掛け算は、その答えを探すのが非常に大変なのです。
実は、この技術がいろいろな暗号化通信セキュリティに使われています。
6557程度であれば頑張って解除できそうなものですが、1000万桁以上の素数の掛け算の結果を素因数分解することは人力や現在のコンピュータ能力では不可能に近いのです。
例えば、クレジットカードやインターネット通販などに使われるセキュリティのRSA暗号技術などでは簡単に言えば、膨大な桁の数を提示されて「素因数分解の答えを教えて」という質問に答えられれば暗号が解ける、ということです。
つまり、新しい素数を探し続けるということはより暗号化通信のセキュリティが上がっていく、ということなのです。
あなたのクレジットカードが安全に使い続けられるのも、クーパー教授をはじめとした数学者たちが新しい素数を探し続けてくれるからなのですね。
弊社でも、通販サイトの決済ページの作成や、セキュリティレベルの高い情報を取り扱うお問い合わせフォーム場合、SSL通信という暗号化技術を使用する場合がありますが、それにも素数を利用した暗号化技術が採用されています。いつもお世話になっています。
せっかく素数のお話をしたので、ロマンにつながる話をもう一つ。
上記の見慣れない難しい式。これは「オイラー積」と呼ばれる、数学界で非常に有名な式の一つです。
何を示すかというと、「素数」と「自然数」と「円周率」の3つが密接にかかわっていることを示している公式です。
詳しくは、「円周率と素数と自然数の素晴らしき関係」という記事を見ていただきたいのですが、一見関係ないような3つの数。
実は上記のような公式でイコールで結ぶことができるのです。
不規則の極みのような「素数」と、整然と整理された「自然数」。そして、まるで関係ないような「円周率」。
実は全てが密接に関係しているのが数学なのです。
円周率と自然数は、永遠にずっと続く数です。
人と人とのコミュニケーションセキュリティを守る素数も、永遠に秘密を守り続けます。