皆さんは、“バイラル・メディア”という言葉をご存知でしょうか?
バイラル・メディアとは少し前から注目されているタイプのWebメディアで、GoogleやYahoo!といつた検索ポータルからの集客を中心としていた従来タイプのWebメディアとは違い、集客の大部分をFacebookやツイッターなどのソーシャルメディアからのアクセスが担っている事が特徴のWebメディアの総称です。
バイラルとは“ウイルス性の“という意味ですが、ウイルスの感染に例えられるほど急激に口コミでコンテンツが広まる様子を表現して、この種のメディアはバイラル・メディアと呼ばれています。
代表的なものにUpworthyや前述のBuzzFeedといった米国発のWebメディアがあり、Upworthy立ち上げからたったの14ヶ月で月間ユニークユーザーが3,000万人を超え、一時期は月間ユニークユーザー数が1億人を突破、BuzzFeedは月間で約2億人のユニークユーザーを記録するなど、破竹の勢いで急成長しているジャンルのWebメディアなのです。
そんなバイラル・メディアの代表的な企業であるBuzzFeedが、1/19に新たに日本版を立ち上げました。
日本版のお話をする前に、もう少しBuzzFeedについての情報をご紹介したいと思います。
BuzzFeedは米国発のサイトで、設立当初は主にゴシップなどの娯楽系の記事を中心に人気を博し、ユーザー数を伸ばしていました。
その後、動画コンテンツを頻繁に追加するようになり、近年ではゴシップだけでなく政治や経済に関するスクープ系の記事、いわゆる調査報道にも力を入れています。
先日も外部メディアから引き抜いた敏腕記者が、プロテニス界に関する八百長とギャンプルに関する詳細なスクープ記事を公開し、大きな話題となっているのは記憶に新しいことろです。
Webメディアなので大きな収入源は当然広告となるわけですが、特徴としてはバナー広告ではなくネイティブ・アド(記事の様なテンプレートで作られる、コンテンツ型の広告)が中心ということです。ちなみに2014年の売り上げは100万ドル以上と、ユーザー数だけでなくその収益の面でも大きな存在感があります。
さらに、コンテンツを作成するためのシステムに積極的に投資したり、技術系のベンチャー企業を買収するなど、テクノロジー面に力を入れているまさに新しいタイプのメディア企業なのです。
そんなBuzzFeedですが、現在米国含め計10カ国でローカル版を展開し、日本版は11カ国目になります。
日本版であるBuzzFeedJapanでは、大きな特徴としてBuzzFeedとしては初となる現地のパートナー企業とジョイントベンチャーを設立しての運営となっており、パートナーにはYahoo!JAPANが選ばれています。
BuzzFeedJapanの広告の販売もYahoo!が独占契約を結んでおり、はたして本国版と同じ様にネイティブ・アドが中心となるのか、日本版独自の広告商品が導入されるのか、など広告の面でも注目を集めています。
BuzzFeedJapanのメディアとしての方向性に大きく影響を与えるであろう編集長には、朝日新聞で長い経験を持つジャンーナリストである古田大輔氏が起用されています。
“古田大輔氏は朝日新聞で東南アジア特派員、およびシンガポール支局長を務めた経験をもつ。
2013年には東京に戻り、「朝日新聞デジタル」の編集に携わり、朝日新聞社の運営するBuzzFeed風サービスの「withnews」に記事を書いたり、またインタラクティブ要素やビジュアル要素を扱う作業も手がけていた。
BuzzFeedによると、古田氏はまずBuzzFeed JapanのBuzz、Life、およびNewsセクションおよびFacebookやSnapchatなどのソーシャルメディア上で扱われるコンテンツについて作業を行うチームメンバーの人選に携わるのだとのこと。“
業界での実績が豊富な編集長に、Yahoo!JAPANという強力なパートナー。盤石の体制での日本上陸に見えますが…実際はどうなんでしょう?
日本のWebメディア“ASCII.jp”で、BuzzFeedJapanの立ち上げの記者会見の様子と、記事が口コミで広がったのかどうかをFacebookを基準に計測した記事が公開されていました。
その記事によるといわゆるバイラル・メディアの代表としては、あまり口コミで記事が広がっていないんじゃないのかといった事、さらに記者会見がバタバタしていたことを例に、それ以外でも日本に上陸するには準備期間が足りなかったんじゃないのかなど、厳しい指摘をする内容になっています。
確かにBuzzFeedJapanのFacebookページの“いいね!“の数もこの記事の執筆時点で6,952と、本家BuzzFeedの6,176,436”いいね!“と比べると寂しい限りで、まだまだこれからという雰囲気です。
しかし日本での立ち上げが難しいのは、BuzzFeed自体もわかっていたはず。
それでも日本上陸を選択し、さらにパートナーとしてYahoo!Japanを選んだのでしょうから、圧倒的なポータルとしての存在感を持つYahoo!と協業してどのようにシナジーを出していけるか、今後のBuzzFeedJapanに注目したいと思います。
source:TechCrunch、ASCII.jp